6月30日 夏越大祓 茅輪くぐり

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大祓(おおはらえ)は、一年の折り返しの時にあたり過ぎ去った半年間のつみ・けがれを祓い清める儀式です。

夏越(なごし)の大祓では茅輪(ちのわ)をくぐって疫病除けを祈願し、神前に大祓詞(おおはらえのことば)を奏上します。

ここに幕末の頃の倉賀野の文人・飯塚久敏(いいづかひさとし)を紹介したいと思います。

和歌や国学に秀でた人で、歌集『かきつの松かさ』に526首を残しています。その中に、「夏祓(なつのはらえ)」と題した3首。

①みそぎして すずしくなりぬ いぶきどの おきその風や 世にわたりけん

②みそぎして すずしくなりぬ おもふ空 やすの川風 身におぼえつつ

③罪という罪はよどまじ 麻の葉の ながれてはやき 滝川の瀬に

①“いぶきどの”の歌。「気吹戸主(いぶきどぬし)」という名の神様がかすかに息(=おきそ)を吹くとそれが風となって罪やけがれを隅々まで祓い遣(や)る、そのような情景でありましょう。

②“やすの川風”の歌は、「天(あめ)の岩戸開き」のときに高天原(たかまのはら)の神々が天安河原(あめのやすがわら)という川辺に集う場面が浮かんできます。

③また“麻の葉”の「麻」は昔から神様への大切なお供えものであるとともに、儀式の中で「祓え」の具として用いられてきました。

川辺に禊(みそぎ)をしたことから、夏祓と題したのでしょう。このたびの夏越大祓も同じく「祓え」の儀式であります。

“みそぎしてすずしくなりぬ”のすがすがしい心地をお伝えしたい思いから、ここにご紹介する次第です。

倉賀野神社  夏越の大祓 参道の茅輪(ちのわ)

なお、倉賀野出身の文人・飯塚久敏は良寛さんの伝記『橘物語』を書いたことで知られます。